事例紹介

ここでは、今まで取り扱った事例の中で、同じようなケースにお困りの方が必ずいらっしゃるに違いないと思えるようなものを思いつくまま、気ままに書き綴ってみます。(写真と事例は全く関係がありません。)

ある日突然支払督促が送られてきた

とっくに時効消滅していたと思っていた債務に対して、債権者から支払い督促が送られてきた。


消滅時効は援用しないと完成しません。支払督促は債権者の申立に従い、内容の吟味をすることなく簡易裁判所から発せられます。異議申し立ての上、時効を援用しないと、時効が振り出しに戻ってしまします。支払督促の送達及び仮執行宣言付支払督促の送達から2週間しか異議を申し立てる時間的猶予はありません。何を措いてもまずは異議!

大正時代の担保が抹消されていない

自宅を売却することにしたが、自宅の土地に大正時代の抵当権が残っているため、売り物にならない。


抵当権は、抵当権者と土地の所有者の共同申請で抹消するのが原則です。しかしながらこんな昔の債権者またはその相続人を見つけるのは不可能。こんな時は債権額と利息、損害金を供託する手があります。この時代の抵当権の債権額は数十円ですから、損害金を加えても数百円にしかなりません。大昔の担保で債権者不明なら、所有者単独で抹消可!

会社設立したいけど費用を抑えたい

親の代から続くお店を法人にしたいと思っていたが、費用も時間もあまりかけられない。 


合同会社という選択肢があります。合同会社とは、社員全員を有限責任社員とする持分会社で、権利の得喪に関しては、しっかり当事者適格のある法人です。設立登記の登録免許税が株式会社の半額以下で、公証人の定款認証費用もかかりません。定款による自由な自治が認められています。一工夫した定款で、理想的な法人の形を追求しましょう!


古い所有権移転仮登記の抹消

自宅の土地の登記簿をみると、全く知らない人の所有権移転仮登記というのが残っていて、そのすぐ下に「余白」という空欄があるけれど、無視して大丈夫?


このような場合は、多少手間暇かけても抹消すべきです。所有権移転仮登記とは、既に所有権の移転はあったにも関わらず、登記申請に必要な書類が何か揃えられなくて、とりあえず順位保全のために仮の登記をしておくためのものです。その後、本登記をする準備がととのった場合、その仮登記を本登記に変えるような登記を申請するのですが、誤って仮登記とは関係ない新たな所有権移転登記として申請してしまうことがあるのです。その結果、ちゃんとした所有権の登記名義は取得できましたが、所有権移転仮登記と「余白」は残ったままです。さて、問題はこの後、何度か持ち主が売買などで変わった後、現在はあなたが所有者ですが、全く知らない人の所有権移転仮登記と「余白」が残っているというわけです。万が一この所有権移転仮登記が本登記されたらどうなるでしょう。あなたの所有権の順位よりこの仮登記の順位のほうが先ですから、あなたは所有権を失うことになるのです。なんとも恐ろしいことですが、ありえないことではありません。古い仮登記ですと、すでに仮登記名義人を探し出せないのが普通です。でもこのような場合でも、仮登記の抹消を命じる判決を求める訴訟を裁判所に提起すれば、現在の所有者だけで所有権移転仮登記を抹消することができます。ともかく古い所有権移転仮登記には要注意です。


合資会社の唯一の有限責任社員の退社

この度、合資会社の唯一の有限責任社員が退社することに。退任の登記はどうすればいいのでしょうか?


合資会社は、家業を家族だけで経営するような場合に適した、無限責任社員と有限責任社員で構成される会社です。でも、たった一人の有限責任社員が退社してしまい、無限責任社員だけになってしまうと、もはや合資会社ではありませんので、会社法の規定により合名会社に種類変更したとみなされてしまいます。この場合、合名会社の設立の登記と合資会社の解散の登記が必要です。大切な会社が無くなってしまって再スタートするような感じがしますね。このような場合、退社する社員の持分をどなたかに譲って、譲り受けた人を新たな有限責任社員として加入させることで、余計な手数を回避することができます。